6月の上ノ原は、ススキが全面を覆い野焼きの跡もわわからなくなる。
その中にワラビが顔を出している。それを目当てにワラビ狩りの来訪者が多い。この日も広場には10台近い車と草原の中を動く人影が目立つ。後背地のミズナラ林は新緑がまぶしい。上ノ原が大好きであるが、体調の関係で参加できない伊賀さんが「まるで青虫のはらわたの中にいるみたい」とのつぶやきは絶妙な表現である。
この時季の上ノ原茅場 |
今回の作業は、昨年9月に途中まで作った歩道を延長すること、もう一つは、広場の西側の斜面のススキの成長を促すために周囲のミズナラ林から落ち葉(腐葉土)を運び出して散布する作業である。この斜面はなぜかほかの場所に比べてススキの背丈が低く細い。道路に近く、比較的平坦で作業がしやすいことからすすきがよく刈り取られる場所でもある。刈取りが続くと地上部が持ち出される収奪により栄養分が不足する。やせた土地に生育するススキでも収奪が続くと栄養不足になるのではないか。肥料散布をもできるが化学肥料には抵抗がある。林縁部や灌木があるところのススキの成長が良いことから発想して、試しに落ち葉を撒いてみることにした。
参加者の女性陣にミズナラ林でお落ち葉を掻き寄せ土嚢袋に詰めてもらい、男性陣がそれを運び散布する。「おばぁ達は山で柴刈り、おじぃ達は、運んで撒く」である。
落ち葉集め |
効率よく落ち葉を袋に入れるにはコツがある |
考えてみると 昔、むかしの農業は里山から落ち葉や草を運び畑や田んぼに入れて肥料にしていた。今回はそれをススキ草原に施肥するという伝統農法ではないだろうか。もちろんリスクもある。肥沃を好まないススキの土壌環境が変わること、落ち葉の中の埋没種や雑草の種が競争相手となること、などであるが、今回は完全な腐葉土でなくまだ分解前の落ち葉を撒いたので一緒に運ばれた土壌生物や菌類がじっくりと分解してくれるだろうから環境の急激な変化は避けれれるだろう。落ち葉掻きしたところの環境も変わるのでひょっとしたらキノコや珍しい植物が出てくるかも。
落ち葉撒き |
すすき成長促進試験地 |
本来なら、試験設計をきちんと作り散布量の違いと生育の関係の分析が必要だろうが今回は試行である。効果があるかどうかが定性的にわかればよい。2時間半の作業で約120m2(36坪)に散布が終わった。
余った時間を利用して、「ははその泉」から「木馬道」を散策。今年の上ノ原はタニウツギがまだ蕾で季節が遅いようであるがウワミズザクラとトチノキが花盛りであった。
今年はウワミズザクラの花が多い |
この日の宿は、奈倉、ご主人の朴訥な人柄と自採りの山菜料理が魅力の宿、この夜もたくさんの山菜や手作りこんにゃく、奥様の豊富な経験からの山菜や料理の解説で楽しませていただいた。 そして、この夜は、車座講座・交流会を開店間もない「居酒屋パル」で行った。店主の久保さんの藤原移住までのいきさつや藤原への想いを聞きながら賑やかかな一夜を過ごした。
居酒屋パルでの交流会 |
2日目は、歩道の延長作業。これまで何度も経験した作業とあって参加者の段取りは手慣れたもの。横木を伐り、杭を造り、必要なところには階段を造り、地面をならす。この歩道は、将来、森林セラピーの散策路として活用する計画であるり、それを考慮して今回、丸太を並べた座観場所も作っておいた。これは10月の麗澤学園のFWで使ってみよう。
歩道づくり |
作業終了後、林齢が高い森の「青虫のはらわたの中」を散策、ホウノキの白い大きな花も見ることができた。
青虫のはらわたの中を散策 |
ホウノキの花 |
昼食は奈倉のカレー、ご主人の手作りこんにゃく、今朝わざわざ採りに行っていただいたミズ(ウワバミソウ)のお土産がうれしい。
地元の人が作った飲水思源手拭の帽子 |
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